詐欺師を高度な会話で圧倒しながら、耳も貸す。ダボス会議で見た、成功者たちの恐るべきバランス【林直人】
異能の起業家・林直人 「ダボス会議」裏側潜入記 #08
■「騙される力」にも秀でているの成功者の特徴!?
ここまでの話と矛盾するようだが、彼ら成功者は一方で「騙される力」にも秀でている。
本当に大成功を収めた起業家の多くは、たいてい過去に詐欺に遭った経験を持っているものだ。ビジネスを推進するためには、時にリスクを取ることも避けられないからだ。数百億円以上の資産を築いた数々の成功者たちも「一度や二度は騙されたことがある」と語っている。すべてを疑いながら進み、詐欺師を完全にシャットアウトするスタンスでもダメなのだ。彼らは詐欺師に貸す耳も持っているのだ。この絶妙なバランス感覚が重要となる。
今回のダボス会議には、日本からも複数の政治家が参加していた。デジタル大臣の平氏や国民民主党の玉木氏も姿を見せたが、残念ながら多くの日本人参加者は、現地のブースを積極的に訪れることなく、日本人同士の会話で終わってしまっていたようだ。
これまでも触れてきたが、ダボスで熱い議論が交わされたのが、AIと仮想通貨だ。AIに関しては、すでにアメリカと中国が市場を牛耳っている中、今後日本やドイツなどが入り込めるのはアプリケーション開発分野だと見られている。例えば、英語の家庭教師をするAIや自動運転システムなどがその一例だ。
仮想通貨ブースでは、泡銭を掴んだ詐欺まがいの投資家たちも少なからず見受けられた。無から有を生む仮想通貨の特性を利用し、一時的に巨万の富を築いた彼らが、ダボスの高級ホテルに詰めかけていたのだ。
そして、世界の流れを大きく揺さぶったのは、トランプ氏の登場である。彼はリモート参加で「アメリカで生産するか、関税を払うか選べ」と強硬姿勢を示し、ダボス参加者たちにショックを与えた。グローバル化が進む一方で、各国が自国主義に傾斜する時代。こうした流れの中、真に価値を持つのは、一国を越えて活躍できる才能ある人材だといわれている。